ローカル5Gの現状とは?周波数の割り当てや制度化の基礎知識~具体的な取り組み事例・今後の課題について

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2020年4月よりドコモ・au・ソフトバンクの大手キャリア3社が5Gサービスを開始しました。
楽天モバイルも5Gサービスに向けて着々と準備を進めています。
そんな中で、5Gとは別でローカル5Gという言葉があります。
IT業界の人でも分野が違えば聞いたことがない人も多いと思います。
いわゆる5Gは私たちのスマホで使われるシーンが多く、代表的な活用事例としてライブ観戦のマルチビューやライブのVR視聴などが挙げられます。
その一方でローカル5Gは企業や自治体等が個別で利用するネットワークで、これにより製造現場、医療、農業、工場、交通インフラの革新が期待されています。
そんな私たちの生活や働き方を大きく変える可能性のあるローカル5Gについて説明します。

5Gとローカル5Gの違いや特徴とは?

ローカル5Gとは企業や自治体が個別で利用するために構築するネットワークインフラのことです。
いわゆる5Gはドコモやau、ソフトバンクがネットワークインフラを構築しますが、ローカル5Gは企業や自治体が構築します。
企業や自治体は自前の5G環境を持つことで、他ユーザーの利用や災害の影響を受けにくく、セキュリティも担保され、そして自身の判断で好きな場所・タイミングで、構築・増強ができるようになります。
5G・ローカル5Gと分けて表現していますが、高速通信・同時多数接続・低遅延といった特徴はローカル5Gも持っています。
この特性を活かして建設現場、工場、農場、河川監視の在り方を変革しようと、総務省・企業・自治体がローカル5G導入に取り組んでいます。

ローカル5Gの周波数と制度化予定

ローカル5Gは2020年6月現在ではまだ完全に制度化されておらず、全帯域で制度化し申請受付開始されるのは2020年11月ー12月の予定です。

ローカル5Gは下記の周波数が割り当てられる予定となっています。

  • 4.6GHz~4.8GHz
  • 28.1GHz~29.1GHz

このうち28.2GHz~28.3GHzは先行して検討されており、こちらの制度化は完了しています。
受付開始後、NTT東日本・NEC・東京都など計10の企業・自治体が総務省に申請しております。
なお携帯電話事業者はローカル5Gの免許付与対象外となっております。

ローカル5Gの開発実証・課題

前述の通りローカル5Gは様々なシーンでの活用が期待されている反面、新しい技術ゆえまだ活用方法が確立されていないという一面もあります。
そこで総務省は地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証の募集を行いました。
その結果、様々な分野・地域から174件の募集がありました。

地域としては、やはり関東が一番多いですが、基本的には全国各地域で実施されている印象です。

これらの募集を総務省にて評価し、令和2年度実証課題として下記のものが選定されました。

工業分野や、一番募集の多かった観光・文化・スポーツ分野が無く、農業・漁業のみというところに偏りを感じますが、農業の人手不足問題解決の一歩となることが期待されます。
今後、総務省にて調達仕様書を作成のうえ、入札を行い請負業者を決定します。
2020年7月~8月に請負契約締結し事業が開始され、2021年3月に成果とりまとめが行われる予定です。
まだ未開発の領域で、かつ総務省含む、多くの企業・自治体が関心を持つ事業なので、大規模プロジェクトとして多くの専門家や費用が投下されることが予想されます。
2021年3月の成果発表にて検証結果と今後の展開性を確認したいと思います。

ローカル5Gの取り組み事例

国内初となる商用ローカル5G免許取得した富士通

ローカル5Gは多くの企業が取り組んでいる分野ですが、一例として富士通の取り組みを紹介します。

富士通は国内初となる商用ローカル5G免許を2020年3月27日にローカル5G免許を取得し、川崎にある富士通新川崎テクノロジースクエアにてローカル5Gシステムを運用開始することを発表しました。
多地点カメラで事業所内のあらゆるシーンを高精細映像で取得します。
その映像から人の動作分析を行い不審行動を迅速に検知することで防犯セキュリティを強化します。

また今後はスマートファクトリ実現に向けて、小山工場でもローカル5G免許取得を目指すことも発表されています。

他にも、富士通ネットワークソリューションズ株式会社(FNETS)、株式会社ケーブルメディアワイワイと協業しローカル5G検証システムを構築することが発表されています。

  • FNETS:無線局免許申請支援、無線エリア設計、電波伝搬測定、ネットワーク設計および工事
  • 富士通:ローカル5G検証システム(コア装置、無線基地局など)の提供、実証実験支援
  • ケーブルメディアワイワイ:ローカル5G検証システムの運用計画

3社は本検証システムを活用してノウハウを蓄積し、スマート工場やスマート農業、防災減災、地域振興等の課題解決に取り組みます。

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