無線回線を利用しているため、工事不要で気軽に高速なデータ通信環境が構築できるWiMAXとSoftBank Air。
月額料金や料金プランだけでなく、通信設備や通信規格、取り入れてる高速化技術やルーター端末の機能の違いなど、意外と知らない特徴の違いが多く存在するのも事実です。
また契約時の特典などにも大きな違いがあるため、実際のお得度は利用条件に応じた実質負担金で比較しないと分かりにくい実情があります。
そこでWiMAXとSoftBank Airのどっちの無線回線が適しているかを判断できるように、両回線サービスの違いについて、詳しく解説していきます。
WiMAXとSoftBankAirの電波の特徴(通信規格の違いなど)を比較
無線通信(電波)において大事なポイントとなるのが周波数です。
基地局からルーターまで、どの周波数帯を使うかによって、通信速度、遮蔽物による影響、適切な通信距離が変わってきます。
両社は同じ2.5GHz帯が割り当てられており、その点で違いはありません。
ただしWiMAXは50Mhz分、SoftBank Air(WCP社)は30MHz分が割り当てられており、WiMAXのほうがより広い帯域幅を持っており、安定した高速通信を提供しやすいと言えるでしょう。
またシステム上の通信速度はWiMAX(最大1.2Gbps)がSoftBank Air(最大962Mbps)をやや上回っていますが、WiMAXの最大通信速度は有線LAN接続が前提とした数値となっています。
一般的に最大通信速度で利用することはできず、ロケーションや電波干渉、ルーター機種、接続機器に依存するため注意が必要です。
WiMAXの通信規格の主な特徴
一般に言われているWiMAXとは、UQ コミュニケーションズの無線ネットワーク環境を使った通信サービスを示します。
WiMAX Forumという団体が研究した通信規格「WiMAX」を使っており、電波の周波数帯は2.5GHzです。
システム上の下り最大速度は440Mbpsです。
SoftBank Airの通信規格の主な特徴
SoftBank AirはSoftbank4Gを用いた自宅回線サービスです。
手続き申請するとルーターが手配されますので、それを電源に接続するだけで利用できるようになります。
Softbank4Gは2.5GHz帯周波数を使った通信となります。
ソフトバンクグループ傘下のWireless City Planning 株式会社(略称WCP)が管理している電波をソフトバンクがMVNOにて利用しています。
WCP社はPHS通信の主要技術XGPをもとに、通信高速化を図りAXGPとして展開しています。
ベストエフォートで下り最大481Mbps、一部エリアでは下り最大962Mbpsとされています。※962MbpsはAirターミナル4のみ対応
WiMAXとSoftBankAirの通信環境・高速化技術の導入実績を比較
総務省が公開している『電波利用状況調査の評価結果概要』の評価では、WiMAXもSoftBank Airも同等の結果となっています。
高速化技術導入状況ではWiMAXがCA導入で先行、SoftBank Airが8MIMO、256QAM導入で先行しているものの、「CA、4MIMO、256QAMのうち複数の技術の導入率が5割を超えている」場合、”S”とする基準のため、今回の評価につながっています。
どちらが利用者にとって便利か明確にすることは難しいですが、WiMAXの優位性を活かすためにはCA利用が前提といえるでしょう。
一方、通信利用範囲が広いという観点では『人口カバー率』や『面積カバー率』のデータをみると、WiMAXが勝っています。
通信高速化技術の導入状況
『地域ごとのCAの導入状況』では黄色バーのWiMAXが勝っています。
ただし『地域ごとの8MIMO導入状況』や『地域ごとの256QAM導入状況』はSoftBank Airが大きく勝っています。
CAや8MIMO、256QAMは無線通信における通信高速化の大きな要素とされており、総務省も評価の対象としています。
人口カバー率と面積カバー率
※『UQ』がWiMAX、『WCP』がSoftBank Airを示すものとする
SoftBank airは人口カバー率86.8%、WiMAXの人口カバー率は97.5%となっており、若干WiMAXのほうが人口カバー率が高いです。
面積カバー率もWiMAXのほうが高く、WiMAXはSoftBank Airより広い範囲で使えると言えるでしょう。
両回線の電波を受信するルーター端末の特徴やスペックを比較
最大同時接続数ではSoftBank Airが大きく勝っています。自宅に接続機器が多い人や、大家族暮らしの人はSoftBank Airが良いでしょう。
その一方でWiMAXには外出先に持ち出して使える『モバイルルーター』を選択できるという大きな利点があります。またWiMAXの方が機種数が豊富で機能も充実しています。
2019年11月時点で提供されている各社のルーター機種は下記の通りです。
SoftBank air | WiMAX | |
---|---|---|
ホームルーター | モバイルルーター | ホームルーター |
Airターミナル4 | Speed Wi-Fi NEXT W06 | Speed Wi-Fi HOME L02 |
Airターミナル3 | Speed Wi-Fi NEXT WX05 | WiMAX HOME 01 |
Speed Wi-Fi NEXT W05 |
※現在、AirターミナルおよびAirターミナル2は出荷されていないため割愛
ルータータイプの比較
SoftBank Airはホームルーターのみが提供されており、WiMAXはホームルーターかモバイルルーターを選択することができます。
ホームルーターは電源に接続して利用するタイプで、モバイルルーターはバッテリー内蔵されており持ち運びできるタイプです。
外出先でパソコンと接続したい人や、スマホの通信容量が気になる人は、モバイルルーターが選択できるWiMAXがオススメといえます。
IEEE規格の比較
スマホなどのWi-Fi機器と接続する際の通信規格は両者ともIEEE802.11a/b/g/n/acが採用されています。
両者とも高速化された新しい規格が採用されており、この点においての差はありません。
スマホなどのWi-Fi接続機器と通信する際に、SoftBank AirもWiMAXも周波数として2.4GHzか5GHzを利用することができます。
SoftBank AirもWiMAXも両方使用することができますので、この点に差はありません。
最大同時接続数を比較
SoftBank Airは最大同時接続数は64台です。
一方でWiMAXの場合、ホームルーター「Speed Wi-Fi HOME L02」が最大40台、モバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT W06」が最大16台となっており、SoftBank Airのほうが多くの機器を接続することができます。
ルーターの通信改善機能を比較
WiMAXにはビームフォーミングやWiMAXハイパワーといった、電波弱環境でもWi-Fi機器との通信を安定させるための機能があります。
WiMAXは2019年11月現在、NEC社とHuawei社がルーター機種を提供しているが、新機種が出るたびに追加機能が実装されています。
その一方でSoftBank Airはルーター機能については特に大きな展開はありません。
これまでMIMO対応や256QAM対応などの改善は行われていますが、それらはWiMAXにも実装されており、エアターミナル独自の機能というものは確認されていません。
WiMAXとSoftBankAirのサービス内容や料金プランについて比較
速度制限(直近3日間制限)
SoftBank Air | WiMAX(無制限プラン) | WiMAX(7GBプラン) | |
3日間利用上限 | 無制限 | 10GB | – |
月度利用上限 | 無制限 | 無制限 | 7GB |
WiMAXには無制限プランがあると言えども、3日間10GBというデータ量制限があります。
速度制限がかかるご利用データ量 直近3日間で10GB以上(「WiMAX 2+」と「au 4G LTE」のデータ量の合計) 制限時間 3日間で10GBを超えた日の翌日のネットワーク混雑時間帯※1
(18時頃~翌2時頃※2)制限後の最大通信速度 概ね1Mbps※3(YouTube動画の標準画質レベルが視聴可能な速度) 出典:UQコミュニケーションズ
その一方でSoftBank Airにはデータ量制限がなく、大きな利点と言えます。
サービス利用料金(実質負担金額)
両サービスとも契約先(プロバイダや代理店)で利用料金や特典が異なってきます。
そこで、ここでは特典の優れているSoftBank Airの代理店「エヌズカンパニー」と、WiMAXのプロバイダ「GMOとくとくBB(キャッシュバックプラン)」をもとに比較していきます。※2019年11月現在
料金項目 | SoftBank Air | WiMAX |
---|---|---|
事務手数料 | 3,000円 | 3,000円 |
ルーター費用 | 0円 ※59,400円が月額料金から割引で実質0円 | 0円 |
月額料金(課金開始月) | 3,800円 | 3,609円の日割り |
月額料金(1~2ヵ月) | 3,609円 | |
月額料金(3ヵ月~11ヵ月) | 4,263円 | |
月額料金(12ヵ月~) | 4,880円 | |
キャッシュバック金額 | 30,000円 | 34,800円 |
ただしSoftBank Airは2年契約であるのに対し、WiMAXは3年契約となっています。
SoftBank Airは契約期間満了の月以外で解約した場合、9,500円の解除料が発生します。
一方でWiMAXは期間によって異なり、下記のようになっています。
- 1ヶ月目~12ヶ月目までの契約解除:19,000円
- 13ヶ月目~24ヶ月目までの契約解除:14,000円
- 25ヶ月目以降、契約更新月以外の契約解除:9,500円
上記の契約プランを前提条件した場合、キャッシュバック金額を考慮して計算した実質負担金額は下記の通りです。
料金項目 | SoftBank Air | WiMAX |
---|---|---|
24ヵ月合計 | 82,040円 | 72,813円 |
36か月合計 | 140,600円 | 123,969円 |
月額料金で選ぶならWiMAXの方が、だいぶ安く済みそうですね。