WiMAXは固定回線と違って、設備工事が不要で外出先でも利用できる優れた無線LANサービスですが、たくさん存在するサービス名称(WiMAX2+やPoket Wi-Fi)や通信方式・通信規格(LTEや3G、Wi-Fi)って、いまいち違いがわかりにくいですよね?
そこでWiMAXの電波(周波数)の特性や通信規格の特徴、さらには通信エリアや高速化技術などを詳しくまとめる中で、WiMAXのメリットやデメリットを初心者の方にも分かりやすく説明していきます。
またWiMAXを快適に使いこなすために重要なハイスピードプラスエリアモードやルーター端末の注意点や、プロバイダ選びのコツやポイントについても解説するので、是非ともWiMAX契約時の参考にしてみてください。
WiMAX2+とは何?ポケットWi-Fiとの違いやサービスエリア
WiMAX2+の概要(基本的な特徴や仕組み)
WiMAXとは2003年に業界団体であるWiMAX Forumが標準化した無線通信規格を示し、のちに移動体向けに改良された後継規格を含む総称となります。
KDDI・JR東日本などが出資しているUQコミュニケーションズ株式会社が、WiMAX規格を用いた通信環境を提供しており、それがUQ WiMAXとなります。
実際には何社かあるプロバイダを通じてWiMAXを利用することができます。
プロバイダと契約すると、ルーターが自宅に送付されます。そのルーターを通して、パソコンやスマホ、ゲーム機などと無線接続できるようになります。
WiMAXの通信サービスは携帯電話事業や他の無線通信サービスと同様、総務省に定められたルールに則って提供されています。
地域広帯域移動無線アクセス(地域BWA:Broadband Wireless Access)システムとは無線を用いた高速データ通信の標準規格のことをしますが、そのBWAの中で代表的な例がWiMAXとなります。
出典:総務省の資料(2.5GHz帯における周波数の分配と割当状況及び干渉検討の組合せ)
総務省管轄のもと、UQコミュニケーションズは2.5Ghz帯を用いて、WiMAXサービスを提供しています。サービス開始当初はその帯域のうち30Mhz周波数帯が割り当てられていました。
その後、高度BWA基地局(150Mbps越えの通信速度実現)の運用開始等を条件とし、総務省より2013年に20Mhz分の周波数帯が割り当てられ、UQコミュニケーションズはより快適な通信環境を実現できるようになりました。
新たな周波数帯を獲得したUQコミュニケーションズは、既存通信規格を改良したWiMAX2+を実現しました。
WiMAX2+とポケットWi-Fiの違いとは?
無線LANのデータ通信サービスということもあって、世の中では混同されることも多いWiMAXとポケットWi-Fi。
UQモバイルがサービス提供するWiMAXに対して、ポケットWi-Fi(Pocket Wi-Fi)とはワイモバイルが提供している高速モバイルデータ通信サービスやワイモバイルが提供しているモバイルWi-Fiルーターのことを指しています。
WiMAX2+とはWiMAX規格をもとに、より大容量・高速に改良された通信規格を示します。
サービス | 通信方式 |
---|---|
WiMAX | IEEE802.16e |
WiMAX2+ | IEEE802.16m |
Pocket Wi-Fi | 3G/4G LTE |
WiMAX2+の通信速度は4×4MIMO技術とキャリアアグリゲーション技術で440Mbps、256QAM変調方式の組合せで558Mbpsの高速通信を実現しています。※詳細は後述
利用端末(スマホやタブレットなど)との接続方法やルーター機種によって最大通信速度は変わります。
WiMAX2+のサービスエリア
WiMAXは全国に展開されており、屋外の基地局は30,000局を達成しております。
ある程度の市街地エリアであれば基本的には接続できると考えて良いでしょう。
さらに一部の新幹線、地下鉄、地下街、空港などでも利用できるようになっており、WiMAX(ルーター)のサービスエリアは2019年現在でも更新されております。
下の画像は東京周辺で検索した参考例です。
※赤い部分:WiMAX2+が利用可能なエリア
WiMAX2+の高速通信化の技術と進化
最大13.3MbpsのWiMAXと比べて、最大558Mbpsを実現しているWiMAX2+は飛躍的な通信速度の向上を成し遂げています。
実は、劇的な通信速度の高速化の背景には、いくつもの革新的な通信技術が貢献しているのです。
複数アンテナで同時通信できるMIMO
MIMO(multiple-input and multiple-output)は送信側・受信側の両方に複数アンテナを用意し、同時通信することで通信を高速化する技術です。
現在は4×4MIMO(送受信合せて4系統のアンテナ使用)で導入されていますが、将来的には8×8MIMOまで拡張される予定です。
下り通信速度は4×4で約2倍、8×8で約4倍になるため、さらなる高速化が期待できます。
送信データ量が増加する256QAM変調方式
無線通信における変調方式の一つで、情報密度を高めて一度に送信できるデータ量を増加することができます。
ハイスピードプラスエリアモード(CA)
WiMAXの特徴として、ハイスピードモードとハイスピードプラスエリアモードの2つの通信モードがあります。
ハイスピードプラスエリアモードは、CA(キャリアアグリケーション)という技術を基にWiMAX周波数と4G LTE周波数の電波を束ねて通信することで、より広域・高速通信を可能とします。
このサービスを利用するためには、ルーターがハイスピードプラスエリアモードに対応している必要があります。また追加で通信費用が発生するケースもあります。
2019年10月現在では無料で提供しているプロバイダもあり(ハイスピードプラスエリアモード利用料金無料特典がついており)、また対応ルーターも多数存在しますので、これから契約する人は利用しやすいでしょう。
なおハイスピードプラスエリアモードには月内7GBという容量制限があります。
WiMAX2+の特徴・料金プランとは?
月額料金と初期費用・端末代金など
プラン | UQ Flatツープラスギガ放題 | UQ Flatツープラス | |||
---|---|---|---|---|---|
定期契約 | 2年 | 3年 | 2年 | 3年 | 4年 |
月額料金 | 4,380円/月 | 3,696円 | |||
初期費用 | 3,000円 | ||||
端末代金 | 3,800円 | ||||
LTEオプション | 1,005円/月 | 無料 | 1,005円/月 | 無料 |
※UQ WiMAX(公式)の契約プラン
UQ WiMAX(公式)では2~4年の定期契約プランが用意されています。
月間データ容量は上限がないプラン(ギガ放題)と、月間7GBまで利用できるプランがあります。
UQ WiMAX(公式)の場合は月間データ容量の上限なしプランが月額4,380円、月間7GBまでプランが月額3,696円となっていますが、多くのプロバイダがもっと安い月額基本料金を設定しています。
月間データ容量制限なし(ギガ放題)プラン
月間データ容量上限あり(7GBまで)プラン
WiMAX2+のデメリットとは?
WiMAX2+の電波は遮蔽物に弱い
WiMAXの周波数帯域は2.5GHzに対し、携帯電話は700MHz~3.5GHzです。
周波数は高いほど伝送できる容量が大きい反面、ビルなど遮蔽物に弱いという弱点もあります。
出典:総務省(周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴)
携帯電話は700MHz帯から900MHz帯は「プラチナバンド」とも呼ばれており、ビル陰を回り込んで伝えることができますが、WiMAXはできません。
他にも、電波が弱い場所に在住のかた向けにUQ宅内アンテナという、自宅に基地局を設置できるサービスがあります。
初期費用・月額料金はすべて無料、契約解除の違約金や最低利用月度もありません。
またアンテナサイズは、185mm×185mm×45mmと150mm×214mm×32.5mmがあり、そこまで場所をとるものではありません。
ただし形式上、アンテナが設置されると無線局免許の兼ね合いで、利用者はWiMAX基地局の運用人となり、名前・住所等が総務省に登録されます。
また宅内アンテナサービスは、以下の回線の契約をしていることが条件となっています。
回線サービスの契約条件 | |
---|---|
auひかり | auひかり ちゅら |
J:COM NET | コミュファ光 |
フレッツ 光ネクスト(NTT東日本) | フレッツ 光ネクスト(NTT西日本) |
10GBの直近3日間制限がある(ギガ放題)
ギガ放題プランにも実は速度制限があります。
3日間で10GB使用すると、翌日のネットワーク混雑時間帯(18時頃から翌日2時頃)の通信速度が、概ね1Mbpsに制限されます。
10GBはYOUTUBEで言うと標準画質で約47時間、高画質で約13時間再生できます。
※画像とデータ量はUQコミュニケーションズの調査による参考値
家族暮らしで、各々動画を見る習慣がある家庭は速度低下の可能性がありますので注意が必要です。
WiMAX2+の途中解約は違約金が掛かる
解約する際、解約違約金が発生することがあります。
基本的に契約更新は3年単位となっており、その更新月中に解約しないと違約金が発生します。
違約金額はプロバイダによって変わりますが、相場観としては、契約初年が約2万~3万円、2年目は約1万~2万円、3年目は約1万円、4年目以降は約1万円程度となっています。
解約理由にもよりますが、3年間隔の更新月に合わせて解約するのは、なかなか難しいものがあります。WiMAXのトータルコストは解約金込みで検討したほうが良いかもしれません。
WiMAX2+のメリットとは?
固定回線では必要となる屋内工事が不要
プロバイダからWiMAXルーターが郵送されれば、あとは電源を入れてスマホなどの通信機器にてWIFI設定するだけで使えるようになります。
大容量の高速データ通信が割安で利用可能
比較対象として挙げられることの多い、ワイモバイルがサービス提供するポケットWi-Fiには月間データ容量制限がないプランは、今のところありません。
光回線を使えば高速データ通信が無制限で利用できるものの、外出先で利用できなかったり、工事費用や月額料金など割高感は否めません。
直近3日間制限はあるものの、外出先でも使えて月間データ容量の制限なく使える高速データ通信としてWiMAXは非常に優秀な高速データ通信サービスといえるでしょう。
キャッシュバックや月額割引特典がオトク
WiMAX2+がオススメな人とは?
リアルタイムのオンラインゲームや、高画質の動画を長時間みたいユーザーでなければ、「今後引っ越しする予定がある」「屋外でも快適ななデータ通信を楽しみたい」「データ通信費を安く抑えたい」といった様々な利用シーンでオススメのネット回線といえるでしょう。
WiMAX2+はルーター端末選びも重要
前述した通り、WiMAX対応ルーターを通して、スマホやPCをネットワークに接続することができるようになります。
ルーターはWiMAX基地局と無線で通信できるため、LANケーブルで接続する必要はありません。
WiMAX対応ルーターは主にHUAWEI・NEC・シンセイコーポレーションなどのメーカーが提供しております。
ただしルーターは何でも選べるわけではなく、契約するプロバイダによって、ある程度ルーターの選択肢が限定されます。
モバイルルーターとホームルーターの違い
ルーターの主なタイプとしては、モバイルルーターとホームルーターの2種類があります。※一部スティックタイプも存在
モバイルルーターはその名の通り持ち運びしやすいバッテリー内臓小型軽量のルーターです。外出時に利用することも可能です。
ホームルーターは据え置き型のものとなり、基本的にバッテリーは内臓されていませんので、外出先での利用は現実的ではありません。
ただしモバイルルーターは同時接続台数が通常10台程度に対し、ホームルーターは20台~40台と多い特徴があります。
接続台数だけをみれば一人暮らし・二人暮らしの場合、例えばスマホ×2台+PC×2台+ゲーム×2機+テレビ×1台=7台で計算すると、モバイルルーターで十分といえます。
一方、家族暮らしの場合、10台を超える可能性もあるため、利用機器の必要台数を確認のうえホームルーターも検討してみるとよいでしょう。
WiMAX対応ルーターの通信速度・規格
WiMAXのルーターには対応している通信規格が異なります。
大まかな特徴・傾向は以下の通りです。
ルーター対応通信規格のリスト | |
---|---|
IEEE802.11a/b/g/n/ac | 最新の端末はおおよそこの規格に対応している。 |
IEEE802.11a/b/g/n | シンセイコーポレーション。URoad-Home2+。ホームルーター。 |
IEEE802.16e-2005 | シンセイコーポレーション。URoad-Stick。USB形式。 |
IEEE802.11b/g/n | 5年以上前に発売されたルーターにて対応。 |
それぞれの通信規格については以下表をご参照ください。
IEEE通信規格の最大通信速度 | ||
---|---|---|
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4GHz | 600Mbps |
5GHz | 600Mbps | |
IEEE802.11ac | 5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11acは最大6.9Gbpsと、他規格に比べ大幅に高速な通信を可能となっていますが、現実的にはWiMAXやルーター、スマホなど利用端末の仕様から、そこまで高速な通信は不可能でしょう。
WiMAXルーターの高速化(通信技術)
上述の通りWiMAX2+はいくつかの技術により、高速通信を実現できます。それらを享受するためには、ルーター側も高速化の通信技術に対応している必要があります。
ハイスピードプラスエリアモードについては通信モード自動切替機能についても確認すると良いでしょう。
例えば、HUAWEIのSpeed Wi-Fi NEXT W06の場合、MIMO・256QAM・通信モード自動切替機能、それぞれに対応しています。※LANケーブル接続という条件はあるものの、最大1.2Gbpsの高速通信を実現可能
WiMAX2+のクレードル効果とは?
有線LAN接続することで、より高速に通信することができます。通常ルーターには有線LAN口がついていないので、クレードルの購入が必要となります。
スマブラなど、一瞬の判断が大事なゲームをするかたはクレードル購入もご検討してみてください。
またWウイングアンテナというアンテナが付属されたクレードルがあります。通常の平置き状態ですと、基地局からの電波は方角によって受信感度の強弱が発生します。
このクレードルを用いることで、全方位的に電波をキャッチし、より良好な通信が可能となります。
通信エリア最大40%アップ
クレードルの両サイドには、WiMAX 2+およびWi-Fiの補助アンテナである「Wウイングアンテナ※1」を搭載。そのクレードルにWX03を装着することで、全方位的に電波をキャッチします。WX03のみを机に平らに置いた場合に比べ、通信エリアを最大40%※2アップさせることに成功しました。
出典:UQコミュニケーションズ
なおWウィングアンテナは以下の機種で利用できます。
上記機種は本体の電波インジゲータ画面を確認することができるので、どの場所が電波レベルが強いか確認して置き場所を決めることができます。
WiMAX2+のプロバイダと選び方
プロバイダとはUQコミュニケーションズが提供しているWiMAX通信設備を用いて、私たちに通信環境を提供している企業のことを示します。
UQコミュニケーションズの代わりに、通信サービスを販売しています。
プロバイダ間での通信速度の差異
基本的には同じUQコミュニケーションズの基地局を利用しているため、プロバイダ間で通信速度はほとんど同じです。
しかし実際のところ異なる可能性はゼロではないと言えます。
結論としては、プロバイダ間の通信速度差異について気にしなくて良いと考えますが、気になる方向けに断言できない理由について説明します。
それはUQコミュニケーションズのプロバイダ向け資料『MVNO様向け説明会資料』からの回答となります。
UQコミュニケーションズとプロバイダでは、5つの契約タイプがあります。
タイプ名 | UQコミュニケーションズ提供範囲 | プロバイダ提供範囲 |
---|---|---|
タイプA | 基地局、ASN-GW、MME/SGW、HSS、HomeAAA、PGW/HA、PCRF、GW | なし |
タイプB1 | 基地局、ASN-GW、MME/SGW、HSS、HomeAAA、PGW/HA、PCRF | GW |
タイプB2 | 基地局、ASN-GW、MME/SGW、HSS、PGW/HA、PCRF | GW、HomeAAA |
タイプC | 基地局、MME/SGW、HSS | GW、HomeAAA、PGW/PCRF |
タイプD | 基地局 | GW、HomeAAA、PGW/PCRF、MME/SGW、HSS |
契約内容によって、UQコミュニケーションズとプロバイダ間で提供する通信設備が異なってきます。
全プロバイダがタイプA契約であれば、各社とも同じ設備を利用しているので差はないでしょう。
他のタイプであれば、プロバイダによって通信設備が変わるので、もちろん通信速度も変わる可能性はあります。
ただし各プロバイダの契約内容まではわからず、またタイプA以外だからといって遅くなるとも限りません。
また契約形態がわかったとして、ルーター機種や利用場所、通信モード(ハイスピードプラスエリアモード)による影響もあるため、結論としてはプロバイダ間での通信環境差異は意識する必要はないといえるでしょう。
WiMAX2+のおすすめプロバイダ
同じ回線・プラン(制限なし)を使っている場合、プロバイダごとに通信品質や通信速度に違いはほぼありませんが、月額基本料金や特典には大きな違いがあります。
さいごに、特にキャンペーン・特典が優れているオトクなWiMAX2+のプロバイダをランキング形式で紹介します。是非とも、プロバイダ選びの参考にしてみてください。